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糖尿病を生きるということの巻 |
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「新年あけましておめでとうございます」
2009年1月は、保健師チップチが担当します。
糖尿病の話は続きます。
どんな思いを抱きながら、糖尿病と日々を生きていくのでしょう。
糖尿病と言われても、実感を持てずにいるヒト達。
分かっていてもできないし、病院に通っていれば病院が治してくれるかなっていうか、自分は大丈夫だと思う。
そんなふうに時間を過ごしていきます。
そして、自分の知らぬ間に糖尿病は進行し、合併症が発症します。
しかし、悲しいかな糖尿病の合併症は、初期の段階では症状が乏しい。
やっぱり痛くも痒くもないのです。
眼の合併症があり、レーザー治療をしているにも関わらず「自分には合併症はない」と言い切る人もいました。
「(症状が)ないからね、自覚的な症状っていうのは。血糖値が高いからって自覚症状があるかっていったらないからね、別にね。」
自分では、何も感じなくとも、合併症の進行に対し、様々な薬が処方されるようになります。
でも、症状がないから、薬が効いているのかどうか…わからない。
糖尿病の初期の段階でもいえることですが、受診することをやめてしまう人も多い。
「ないな、全然。効いてるんだかなんだか、さっぱしわからない。いや、別にそういう症状がないから余計さ。症状があって薬飲むんだったら、まぁしゃあないなって思うけど。」
ドクターやナースから合併症について言われ、薬の量も増えているにも関わらず、やはり糖尿病の実感を持つことができないと同じように、合併症についても実感できずにいきます。
ずっと実感を持てずに時間を過ごしても、確実に進行し、ある日症状を自覚するときが来ます。
しかし、自覚したときには、実はもうすでにどうしようもない状態になっていて、症状の緩和が十分にできないことがほとんどです。
「今もうとにかくね、とにかく骨、骨っていう骨、ほとんど痛いの。足のつま先から。」
神経障害のあるおばさんは、つま先から始まった足の痛みが、今は腰のあたりまで痛くなり「骨が痛む」という表現で辛さを語ってくれました。
合併症が発症する前は、糖尿病が治るのでは?と淡い期待を抱くこともあったのに、合併症を自覚すると「もう治ることはない」と思うようになります。
「体調悪いっていったら、ちょっときて点滴打ったら治ることでしょう。これ(糖尿病)は永遠なんだもん、もう。」
そして、なんで自分だけが…と、自分だけにもたらされた悲運を嘆く。
「今だってね、10人に1人とかね、それこそ隠れ糖尿病、まだひどいわけでしょう。それみんな贅沢してそうなってるかっていったら、全然違うわけでしょう。ほんとね、何とも言えないわ。」
「糖尿病だけには、なりたくない。もう生まれ変わったら糖尿病だけには、生まれてきたくない。」
抜け出られない症状、しかも次から次へといろんなことが現れ、波のように押し寄せてくる。
将来を悲観し、良くなっていく可能性さえ感じなくなってしまいます。
「いや本当にとことん考えたら、はっきり言って死にたくなっちゃうよ。色々考えたら、先が見えてるちゅう感じだからね。」
「こんなになってしまったからね。分かんないですけどね、ある日突然暴れ出して、もうどうでもいいやとかってすごい状態で食べたりとか遊んだりとかするかもしれないですよ。」
ショックでした。
こんなにも思い悩んでいたのかと。
どうすればいいのか分からず、自暴自棄になっていたのかと。
合併症をもった糖尿病の人は、医療者からすると厄介者。
何で出来ないの!と思ってしまう。
出来ないから悪くなったんでしょ!
そんなふうに医療者から思われていること、みんな分かっていました。
「先生方は結局そういうことになった時は、なんか食ったんだろう。そう糖尿にひっつめて、結局なんか食ったんだろうって。みんなそうですよ、みんな。」
「なんか病気になったのが悪いみたいなこと言われるわけでしょう、はっきり言って。贅沢しているからだとかさ。」
糖尿病になったのは、食べ過ぎたおまえのせいだ。
そんな声が周りから聞こえてくる。
自分は他の人となんら変わりない生活をしてきたつもりなのに、自分が悪いように言われる。
自分には悪いレッテルが貼られ、どんどんどんどん周りから疎外感を感じる。
糖尿病の人達は、孤独でした。
いろんなことを失っていました。
視力もお金も信頼も。
辛い症状を抱えながら、どうなるか分からない将来を悲観し、自分ではもうどうしようもない、でも誰も助けてはくれない。
分かっているんです、やらなければいけないことも、自分の置かれている状況も、そして、周りのみんなが自分をどう見ているのかも。
そんな糖尿病の人達が求めていること、それは食事指導や生活指導なんかではなく、自分のことを気に掛けてくれる人、話を聞いてくれる人ではないでしょうか。
私は心に決めました。
糖尿病の人達の味方になろう!と。
【補 足】
「糖尿病=食べ過ぎ」と思わないでください。
糖尿病は、遺伝が発症の最大の誘因です。
それに、食べ過ぎやストレスが加わり発症します。
最近の研究では、糖尿病になりやすくなる遺伝子も見つかっています。
日本人は欧米人に比べ、糖尿病になりやすいことも分かっています。
食べ過ぎなくても糖尿病になってしまう人もいるのです。 |
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